GIVIケースの取り付け

2019年5月現在、筆者は初代Z900RSに乗っている。その前は初代W800、その前は中古のマジェスティSVに乗っていた。

マジェスティSV (以下、「マジェ」)は、筆者が福岡県に単身赴任した2006年から、普段の足として利用していた。赴任が決まって日数がない中、大手バイク販売店にて急遽手配してもらって購入したものだ。

いわゆるビッグスクータに乗るのはこれが初めてであったが、その着座姿勢や思ったよりキビキビとした走り、スクータならではの使い勝手の良さにすっかりほれ込んでしまった。中古だったので外装にはそれなりに傷もあったが、普段の足として活躍してくれた。だけど、若干の不満もあった。

ビグスクといえば、シート下の荷物搭載スペースが「またがる」タイプのバイクと比べて圧倒的に大きいことがメリットのひとつとして挙げられる。しかし、マジェは、ビグスクの中でも初期の頃のものだからだろうか、シート下にスペースがあるものの、その当時筆者が使っていたヘルメットが入らないのである。もちろん、このマジェが発表された当時のヘルメットは入ったのだろうが、筆者が乗っていた2000年代後半の時期のヘルメット(その当時はAraiのNANKAIオリジナル仕様のもの)はぎりぎり入らなかった。

そこで、ハードケースを装着することにした。ハードケースは、当時は若干「オジサンくさい」ものという感じがしたが、何しろ普段の足がこれしかないので、なにはともあれ利便性を向上させたかった。このマジェには最初からリアキャリアが取り付けられていたこともハードケース導入を後押しした。

ちなみに、バイクの後ろに装着するハードケースのことは「トップケース」「トップボックス」「リアケース」「リアボックス」「パニアケース」等の言い方があって統一されていないが、ここでは「リアケース」ということにする。「トップケース/ボックス」は「サイドケース」との対義語的なニュアンスがあるし、「パニアケース」は主にサイドケースのことを指したり、サイドケースとトップケースを一体として指したりすることが多いと思われるからだ。リアケースといえばGIVIが有名であるが、GIVIは「GIVIケース」と言っているようだ。

その当時、近所にたまたま南海部品があったのでそこで一番安価だったSHADの47Lタイプ(だったと記憶している)を購入。GIVIへの憧れはあったが、高価だったし、最初から「ブランドもの」に手を出すのはなんだか気が引けてより安価なブランドにした。47Lタイプにしたのは、もちろんヘルメットがすっぽり入るくらいの容量が欲しかったからだ。ヘルメットの形によっては、2個も入る(!)くらいの容量である。リアキャリアへの取り付けは、汎用ベースを付属の金具で リアキャリアに適当な位置で取り付けるだけで容易であった。キャリアの角度に合わせてケース全体が若干前傾してしまうが、まぁ仕方ない。

実際にリアケースを導入してみた感想であるが、これが便利で便利でもうバイクには必須と思えるくらい便利であった。スーパーで買い物をして、複数のレジ袋をひょいとケースに入れればそれで良い。いちいちネットで固縛するとか、ひもで縛るとかしなくて良い。

その後、2年くらいで単身赴任を終え、宇都宮に戻ったが、その利便性の高さからもう3年くらいはマジェに乗っていた。都合5年くらいはビグスク時代を過ごしたわけだ。マジェで仲間とツーリングに行くこともあったが、高速道路ではかなり性能の「端っこ」を使うことになるものの、快適であることに変わりはなかった。

その後、2011年にW800に乗り換えたが、最初に行ったカスタムはリアケースの取り付けだった。今回はその頃有名になりつつあったcoocaseの48Lタイプを導入した(S48アストラだったと記憶している)。当初、W800の純正オプションのリアキャリアに取り付けていたが、その後Hepco&Beckerのサイドケースのみを導入し、リアケースにはcoocaseを取り付けた。これでいわゆる「パニアケース」完全装備となったわけだが、これまた大変な利便性であった。ただし、サイドケースは、W800用の専用取り付けフレーム(サイドケースホルダー)がラインナップされていたからこそであり、リアケースのようにある程度汎用的に取り付けられるようなものではないので、ラッキーといえばラッキーだった。

前置きが長くなったが、W800に6年半乗った後、2018年の1月にZ900RSに乗り換えた。当然リアケースを取り付けたい、となるわけだ。今回はついに「憧れの」GIVIにすることにした。

リアケースを導入するとなると、リアケースを取り付けるベースとなる専用ステーまたはリアキャリアが必要だ。建築物の基礎のようなものだ。これがないと話が始まらない。しかし、Z900RSには純正オプションとしてのリアキャリアの設定がない。そうなると、専用ステーが出るのを待つか、サードパーティ製のリアキャリアを導入するかしかない。

2018年のモーターサイクルショー(MCS)でGIVIの代理店のDaytonaのブースで聞いたところ、夏くらいにはZ900RSの専用ステーが出る予定とのことであったが、明示的な情報は得られなかった。その後、いくつかサードパーティ製のキャリアが発表されたものの、どれも確実にリアケースを取り付けられるというものがなかった。中にははっきりと「リアケースは取り付け不可」と明記しているものもあるので注意が必要だ(自己責任で取り付けたというサイトもあったので、取り付けられなくはない、ということだろう)。結局翌年2019年のMCSで再度Daytonaブースで聞いたところ、GIVIから専用のステーが出ているので、それを利用してくださいとのことだった。えぇ、出てるのかよぉ…

バイク用のリアケースや取り付けステーなんかは分母が小さいので仕方ないのかもしれないが、どうもちゃんとした日本語の情報が少な過ぎる感じがする。Daytonaはせっかく日本でGIVIの代理店をやっているのだから、もうちょっとタイムリーに情報を出して欲しいところだ。

いろいろ探した結果、Motostormという(たぶんイタリアの)サイトでGIVI製のステー(ブラケット)を取り寄せることにした。一応日本語対応のサイトだが、ちょっと日本語が怪しいのはご愛嬌だろうか。

GiviリアマウントSR4124 MonolockまたはMonokeyトランク用

このブラケットはGIVIのモノロック系・モノキー系の両方に対応しているようだが、Daytonaブースで見せてもらった対応表一覧ではモノロック系のみとなっていたので、ケースはGIVIのモノロック系とした。サイズはもちろん47Lクラスである。

GIVI B47 モノロックケース ブラック塗装 B47N902

ブラケットの取り付けは、ねじ穴の位置が微妙に合っていなくて(車体側やブラケット側の個体差の可能性もあるが)苦労したが何とか取り付け完了。説明書には前側の荷掛けフックについて何も説明がないが、あらかじめ外しておくと良いと思う。

このブラケットであるが、以下の特徴を持っており、製品仕様としては良くできていると思う。

  • 思ったより太いパイプ構造で非常に剛性感がある。
  • 表面が半艶のブラックでしっかり塗装されていて高級感がある。
  • 二人乗り用のグラブバーも兼ねている。
  • 前側の荷掛けフックがそのまま生かせる。
  • 後側の荷掛けフックのパーツは取り外さないとならないが、その代わり付属の「荷掛けフックと似た形のパーツ」が2個付属するので、それを取り付けると一応元の荷掛けフックと同じように使える。

上記「荷掛けフックと似た形のパーツ」は、ヨーロッパ仕様の反射板を取り付けるステーのようなものだ。

ケースは「ブラック塗装」のモデルを選択したが、ウェブサイトの写真だと良くわからないが、化粧板の部分が「ブラック塗装」になっているだけで、そのほかの部分は塗装なしのブラックである。ちょっと思ったのとは違ったが、全体的にZ900RSの黒っぽいイメージにピッタリである。結果的に大満足である。

Z900RSにGIVIケースを取り付け
Z900RSにGIVIケースを取り付け

ちょっと取り付けに苦労したものの、リアケース導入で普段使い(通勤や用足し)の利便性が格段に上がった。ちなみに、今どきのフルフェイス型ヘルメット(SHOEIのGT-Air)やジェット型ヘルメット(SHOEIのJ-Cruise)でも問題なく入る。さすがに2個は無理そうだが、コンパクトなヘルメットなら、2個入りそうだ。

2019年現在、マジェに乗っていた10数年くらい前と比べて、リアケースを装着しているバイクが確実に増えてきたと感じている。一時の「オジサンくさい」というイメージもだいぶ緩和され、ツアラータイプだけでなくスポーツタイプのバイクにもケースを装着しているのをよく見かけるようになった。バイクのケースがようやく「市民権を得た」と言えるだろう。

令和元年5月16日 初出
令和2年10月14日 改訂
令和2年12月14日 改訂

電源くん3のヒューズ

今時のバイクでツーリングにいくとすると、もはやナビを利用するのが当たり前になっている。ナビといっても、専用品ではなく、スマホのナビアプリを利用するのがすっかり定番であろう。

スマホを利用しようとすると、ハンドル周りにスマホホルダーを取り付ける必要があるが、これは比較的容易である。筆者もDAYTONAの「マルチバーホルダー ハンドルポストクランプ(ブラック)」を取り付けた。これに同じくDAYTONAの「バイク用スマートフォンケース(リジットクランプ式)XLサイズ 94805」を取り付けてある。

さて、上記スマホケースにスマホを入れるのは良いのだが、スマホのバッテリーだけで運用するのは不安が残る。そこで車体から電源を取りたい。最近のバイクでは最初から電源の口が装備されているものもあるが、Z900RSにはそのようなものはないので、自前でつける必要がある。

筆者はツーリング時には、アマチュア無線を利用して、仲間と交信している。手持ちの無線機はSTANDARDのVX-3であり、この外部電源を取るためにはシガーライターソケットタイプのアダプタが用意されている。本当はUSBポートからというものがあればいいのだが、残念ながらない。そのため、電源の口としては、スマホ用のUSBポートとともにシガーライターの両方があると便利だ。

要件に合うものはいくつかあるが、毎度おなじみNANKAIブランドがお気に入りなので「電源くん3」を選定した。

電源くん3の配線については別記事に書きたいと思うのでここでは割愛する。

電源くん3は機能的には問題なく使えてくるが、ひとつ問題というか不満がある。配線の途中にヒューズが付いているのだが、このヒューズボックスが安っぽい黒いプラスチックでできていて(失礼!)、キャップを閉じるように捻るように蓋をするタイプなのだが、そのネジ部の造形が浅くて、すぐにバカになってしまう。しかも使われているヒューズが10Aのミニタイプだ。このミニタイプのヒューズは入手性が悪い。少なくとも筆者の周辺のバイク・車用品店ではほとんど見かけることがなかった。

そこで、ヒューズボックスを入れ替えることにした。用意したのはエーモン(amon)のヒューズホルダー(ITEM No.B138)だ。ガラス管タイプの通常サイズのヒューズ用で適合ヒューズが20A以下というものだ。併せて、ヒューズも通常のガラス管10A 30mmのものを調達した(M&HマツシマのGFL 10)。

電源くん3のヒューズボックスを切断して、エーモンのヒューズホルダーに付け替えた。再接続はギボシ端子を利用して、取り外しできるようにしてある。

これで、入手性の良い通常サイズのヒューズを使え、ヒューズホルダーもガッチリと剛性感のあるものになったので、安定運用ができている。

平成31年4月6日